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中国の大躍進からAIクラウドまで。ビジネスに直結するAI注目動向4選

コラム
2018.4.18

的確な予測で定評のあるFuture Today Instituteのレポート「2018 Tech Trends Report」が公開された。やはり注目はAI技術。全部で21のAI技術動向が取り上げられているが、その中でも僕が個人的に興味を持った4つの技術動向について、同研究所の予測を交えて解説してみたい。

①AIクラウド

このレポートの中の挙げられた27のAIトレンドの最初に挙げられているのがAIクラウド。

AmazonのAWSのようなクラウド・コンピューティング・サービスに、より多くのAIの機能が搭載されるようになり、ベンチャー企業や大企業のAI ニーズのかなりの部分を担うようになるという予測だ。有力プレーヤーとしては、Amazon、Microsoft、IBM、Googleが挙げられている。

この領域は僕も注目していて、AIクラウドの覇者が史上最大の企業になる!?というコラムを書いた。

パソコン時代のWindows vs. Macや、モバイル時代のiPone vs. Androidのように、AI時代はAIクラウドがテクノロジービジネスのOSのような存在になり激しい覇権争いが繰り広げられるようになる。また世界中のテック企業がそうした覇権争いの影響をまともに受けるようになるのだと思う。

②AIプラットフォームの分断

先日のコラム「AIプラットフォームは分断へ」に書いた通り。

AIのソフトウエア、ハードウェアの両面で、テック大手が独自の製品を出し始めた。市場は互換性のないソフトやハードで分断され、その後は寡占化に向かう、というのが同レポートの予測だ。

③環境に溶けていくデジタルアシスタント

AppleのSiri、GoogleのGoogleアシスタント、MicrosoftのCortana、Amazon Echoなどのデジタルアシスタントがさらに普及し、AIスピーカーなどの家電機器に搭載され、より自然な形で人間とコンピューターがコミュニケーションを取るようになる、と予測している。

同レポートの中にある「Bots」、「Digital Assistants Become Ubiquitous(デジタルアシスタントはあちこちに存在するようになる)」、「A Bigger Role For Ambient Interfaces(環境インターフェイスはより重要になる)」などといった項目は、すべてそういうことを述べている。

僕もこうした動きには、これまでも注目しており、過去にはいよいよスマートスピーカー発売ラッシュ。最後に笑うのは? という記事を書いている。ご参考まで。

このレポートの中でおもしろかったのは、メトカーフの法則に言及していること。メトカーフの法則とは、通信ネットワークに関する法則で「ネットワーク通信の価値は、接続されているシステムのユーザ数の二乗(n2)に比例する」というもの。つまりユーザー数が増えれば増えるほど、利用価値が高まり、より多くのユーザーがより頻繁に利用するようになるということだ。

日本でもAI スピーカーが発売になったものの、爆発的ヒットとはほど遠い状態。購入者の意見が耳に入ってくるが、「全然使えない」という意見が多いように思う。

一方で米国には2020年にはAIスピーカーの世帯普及率が75%を超えるという予測や、ほとんどのECサイトでの買い物の がAIスピーカーを通じて行われるようになるという予測がある。日本人にはにわかに信じがたい話だ。

でももしこの法則がAIスピーカーにも当てはまるのだとすれば、日本でも今後同じように大ヒットする可能性がある。

④中国の大躍進

今回のレポートが最も強調しているトレンドが、中国の大躍進だ。このレポートでは、「AI の開発競争は、今日における冷戦時代の軍拡競争のようなものである」とまで言い切っている。確かにAI 技術のほとんどは、軍事技術にそのまま応用できるものばかり。ビジネスや経済だけの話ではないわけだ。ロシアのプーチン大統領も「AI分野で主導権を握る者が世界の支配者になる」と語っており、これを受けて起業家のイーロン・マスク氏は公式Twitterで「中国やロシアなど、コンピューター科学に強いすべての国々がAI覇権争いをすれば、それが第3次世界大戦につながるだろう」 とつぶやいている。

中国の大躍進はこれまでに何度かコラムに書いている。【参考記事】AIベンチャーへの投資総額で中国が米国を抜いて首位に2017年はAIビジネス大爆発の年。米国、中国が大躍進、そのとき日本は?

しかし何よりも中国が有利なのは、大量のデータを持っていること。もともとオンライン人口は約7億3000万人と桁違いに多く、さらに政府が各種データを持っていて、それを特定の民間企業に貸し出すことが可能なんだとか。

米国や日本ではプライバシーやセキュリティの観点から消費者のデータは扱いづらいが、中国にはそうした問題はないらしい。

それがいいのか悪いのかは分からないが、AIが賢くなるのかどうかはデータ次第。

2030年までにすべてのAIの領域で世界一になるというのが中国の国家計画だが、研究者のレベルとデータの量を見る限り十分に実現可能な計画だと思う。

今回取り上げたのは、主にビジネス面におけるAIの影響。いずれまた別の機会に、このレポートの中で取り上げている自然言語処理や、強化学習など、特定のAI技術の研究開発面での動向を取り上げてみたい。


Editor's Profile

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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